2025 01 01
建設業者が外国人労働者を雇用する際の注意点と手続き|在留資格・建設業許可の専門家による解説
外国人材の活用がますます注目される中、建設業界でも外国人を雇用したいと考える企業が増えています。しかし、外国人を雇用する際には、在留資格や労働法、さらに建設業許可の要件など、数多くの法的要素をクリアする必要があります。本記事では、在留資格と建設業許可に精通した行政書士が、外国人雇用に必要なポイントをわかりやすく解説します。
目次
外国人を雇用する意義
近年、日本の建設業界では深刻な人手不足が課題となっています。このような背景から、外国人材は貴重な労働力として注目されています。特に、技能実習生や特定技能外国人は、建設業の現場で即戦力となる人材です。
外国人を雇用することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 労働力不足の解消:日本人労働者が不足する建設現場で重要な役割を果たします。
- 多様な視点による業務改善:異文化の視点を取り入れることで、新たなアイデアや改善点が生まれます。
- 国際的な事業展開の基盤づくり:将来的な海外展開を見据えた体制づくりにも寄与します。
ただし、外国人を雇用する際には、法令遵守が必要です。これを怠ると、企業に罰則が科される可能性があるため、正しい手続きを理解することが重要です。
建設業で働く外国人の在留資格
外国人(日本国籍を持たない人)が日本で働くには、就労可能な在留資格が必要です。建設業で雇用可能な主な在留資格は以下の通りです。
①特定技能
特定技能は、一定の試験に合格した外国人が日本で働ける制度です。建設分野では、特定技能1号と特定技能2号が適用されます。特定技能1号は、最大約5年間の在留が認められます。特定技能2号は在留可能な期間に制限がありません。
従事できる仕事
専門的な技能が必要な業務(技能検定3級程度)に従事できます。付随業務として単純作業(資材を運ぶなど)も可能です。ただし、単純作業のみを行わせることは認められていません。
申請人(外国人)側の主な要件
技能要件と日本語要件を満たす必要があります。例えば、以下の条件があります。
(1)技能実習2号を修了している。技能実習3号修了者も可能です。
(2)技能実習2号修了者以外は、以下の日本語能力と技能能力の試験に合格する。
- 日本語能力:日本語能力試験(N4以上)または国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル以上)の合格
- 技能能力:建設分野の特定技能評価試験または技能検定3級などに合格
企業側の主な要件
- 建設業許可を取得している
- JAC(一般社団法人建設技能人材機構)に加入している
- 適切な労務管理体制が整備されている
- 支援計画の作成と実施体制が整っている(登録支援機関への委託が可能)
- 適正人数での雇用がされている
②技能実習
技能実習制度は、発展途上国の人材に日本の技術を習得してもらうことを目的とした制度です。建設業では、22職種33作業で技能実習生の受け入れが可能です。
ただし、技能実習制度は、2027年6月までに廃止され、在留資格「育成就労」(仮称)が創設される予定です。これにより、外国人建設労働者が日本で長期的に働ける環境が整うことが期待されています。
従事できる仕事(建設業:22職種33作業)
- さく井(パーカッション式さく井工事作業)
- さく井(ロータリー式さく井工事作業)
- 建築板金(ダクト板金作業)
- 建築板金(内外装板金作業)
- 冷凍空気調和機器施工(冷凍空気調和機器施工作業)
- 建具製作(木製建具手加工作業)
- 建築大工(大工工事作業)
- 型枠施工(型枠工事作業)
- 鉄筋施工(鉄筋組立て作業)
- とび(とび作業)
- 石材施工(石材加工作業)
- 石材施工(石張り作業)
- タイル張り(タイル張り作業)
- かわらぶき(かわらぶき作業)
- 左官(左官作業)
- 配管(建築配管作業)
- 配管(プラント配管作業)
- 熱絶縁施工(保温保冷工事作業)
- 内装仕上げ施工(プラスチック系床仕上げ工事作業)
- 内装仕上げ施工(カーペット系床仕上げ工事作業)
- 内装仕上げ施工(鋼製下地工事作業)
- 内装仕上げ施工(ボード仕上げ工事作業)
- 内装仕上げ施工(カーテン工事作業)
- サッシ施工(ビル用サッシ施工作業)
- 防水施工(シーリング防水工事作業)
- コンクリート圧送施工(コンクリート圧送工事作業)
- ウェルポイント施工(ウェルポイント工事作業)
- 表装(壁装作業)
- 建設機械施工(押土・整地作業)
- 建設機械施工(積込み作業)
- 建設機械施工(掘削作業)
- 建設機械施工(締固め作業)
技能実習生の種類
技能実習生を雇用するためには、監理団体(組合)に所属し、技能実習計画の認定を受ける必要があります。
技能実習には、1号から3号まであります。それぞれ、「技能実習1号」、「技能実習2号」、「技能実習3号」と在留資格が区別されます。
そして、自社で監理をするか(企業単独型)、組合が監理するか(団体監理型)によりさらに区別がされます。以下が技能実習生の在留資格の表になります。
企業単独型 | 団体監理型 | |
1年目 | 技能実習1号イ | 技能実習1号ロ |
2~3年目 | 技能実習2号イ | 技能実習2号ロ |
4~5年目 | 技能実習3号イ | 技能実習3号ロ |
③技術・人文知識・国際業務
在留資格「技術・人文知識・国際業務」(ぎじゅつ・じんぶんちしき・こくさいぎょうむ)は、一定の専門性が必要な業務が対象となります。建設現場の一般作業に従事することには適していません。一般作業に従事する場合は、特定技能や技能実習を検討する必要があります。
従事できる仕事
「技術・人文知識・国際業務」は、以前は3つの資格に分かれたものが1つになりました。「技術」、「人文知識」、「国際業務」の3つとなります。
- 技術:施工管理技士、IT職種など
- 人文知識:営業、マーケティング、管理職など
- 国際業務:通訳翻訳など
主な要件
仕事内容についての要件:一定の専門性が必要な業務である必要があります。一定の専門性とは、大学卒業者等で、文系や理系の知識が必要な業務です。そして、その業務が一定時間以上ある必要があります。週に1日のみ専門性の業務に従事し、残り4日は単純作業の仕事をするなどでは要件を満たしません。
また、本人が満たす要件でハードルが高いのが、能力要件です。職歴か学歴のどちらかが必要になります。職歴であれば、実務経験10年以上が必要です。学歴の場合は、大学(海外の大学や短期大学を含む)または日本の専門学校(原則外国の専門学校は含みません)の指定学科を卒業していることが求められます。
ただし、外国の学校によっては、大学の名前でも大学の要件を満たしていなかったり、逆に専門学校的な名前でも大学の要件を満たすこともあります。外国の学校卒の場合は、在留資格申請に精通した行政書士に相談するなどしたほうがいいでしょう。
技術・人文知識・国際業務の中で、学歴や年収などの一定の要件を満たすと在留資格「高度専門職」の取得可能性もあります。「高度専門職」を検討する際は、入管業務に精通した行政書士等の専門家に相談することをおすすめします。
④技能
従事できる仕事
⑤経営・管理
⑥留学
資格外活動許可の確認方法
留学生を雇用する際の注意点
⑦家族滞在
資格外活動許可の確認方法
⑧特定活動
⑨その他(永住者、日本人の配偶者等、定住者など)
建設業許可との関係
外国人を雇用する建設業者が建設業許可を取得している場合、追加で以下の手続きなどが発生します。
- 雇用契約書を入管へ提出
- 外国人雇用状況の報告
- 外国人労働者の管理
- CCUS(キャリアアップシステム)への登録(特定技能外国人を雇用する場合)
- JACへの加入(特定技能外国人を雇用する場合)
外国人労働者の管理は、在留資格制度の概要を理解し、会社で適切に管理する担当者を設置する必要があります。担当者を置けない場合、行政書士事務所などに外注することが考えられますが、いずれにしても管理に関する費用などが発生します。
雇用手続きの流れ
外国人を雇用する際の基本的な手続きは以下の通りです。
- 求人計画の作成
- 雇用契約の締結
- 在留資格の申請
- 労働基準監督署への届出
- 社会保険・労働保険への加入手続き
各ステップで必要な書類や注意点について、専門家の支援を受けることをお勧めします。
当事務所が提供できるサポート
当事務所では、外国人雇用に関する手続きや建設業許可取得を専門的に支援します。
- 外国人雇用に関するアドバイス
- 在留資格許可申請取次(就労ビザ取得)
- 建設業許可の手続き(新規、更新、変更など)
- 各種許認可の取得(産廃収集許可取得、解体工事業登録、電気工事業登録など)
専門家のサポートを受けることで、手続きのミスを防ぎ、スムーズに外国人材を受け入れることが可能になります。
おわりに
外国人を建設業に雇用するには、適切な在留資格の選択や建設業許可との整合性を確保することが求められます。法的な手続きを適切に行うことで、企業は安心して外国人材を活用できます。
行政書士は、こうした手続きを包括的にサポートし、企業の発展に寄与します。外国人雇用を検討している建設業者の方は、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。
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