2025 04 28
【建設業許可】経営業務の管理責任者の証明方法|法人・個人事業主別に詳しく解説
建設業許可を取得する際は、「経営業務の管理責任者」の要件があります。建設業許可の審査において厳しくチェックされる部分でありますので、正確な証明書類の準備が必要です。
しかし、法人と個人事業主では証明方法が異なり、「いったいどんな書類を提出すればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「経営業務の管理責任者の証明方法」について、法人・個人事業主の違いを明確にしながら、わかりやすく解説します!
経営業務の管理責任者とは?
建設業許可を取得する際に求められる要件の一つで、建設業を営むためには一定の経験を持つ「経営業務の管理責任者」が必要です。
これは、①適正な財務管理能力②適正な労務管理能力③その他不良不適格業者の排除を審査し、資金調達、資材購入、下請契約を行い、建設工事に配置する技術者や技能者を確保し管理できる能力を備えているかを問うものです。
目次
経営業務管理責任者になるための要件
令和2年10月施行の法改正により、従来の「経営業務の管理責任者」制度は見直され、以下のいずれかを満たすことで認められるようになりました。
- 建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者としての経験を有する者(ex.取締役として建設会社を5年以上経営していた・個人事業主として5年以上建設業を営んでいた等)
- 建設業に関し経営業務管理責任者に準ずる地位にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者(ex.法人の執行役員・個人事業主の共同経営者等)
- 建設業に関し経営業務管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者(ex.個人事業主の跡取りが事業の中核を担っていたなど)
※令3条の使用人も経営業務の管理責任者になれます。
具体的には支店長や営業所長などが該当しますが、建設業許可を取得していない建設業者の支店長、営業所長は令3条使用人に該当しません。
従来の「過去5年以上の経験者が役員にいること」の要件を廃止し、「事業者全体として適切な経営管理責任体制となっていること」に改め、ルールを合理化しました。
根拠法令
- 建設業法第7条第1号
- 建設業法施行規則 第3条第1号
- 建設業法施行規則 第7条第1号
しかし、5年以上の経営経験を一体どのような方法で証明すればいいのでしょうか。
証明方法については、法人と個人事業主には次のような違いがあります。
証明方法の違い(法人・個人事業主)
(1)法人の場合
法人では、「会社の役員」または「要件をみたす一定の経験をもつ者」であることを証明する必要があります。
必要書類
✅ 法人の役員としての経歴を証明する場合
- 履歴事項全部証明書(登記簿謄本)(必須)
→ 就任日・退任日で取締役・代表取締役としての在籍期間を証明
(通算で5年以上を証明できない場合は閉鎖事項証明書及び閉鎖登記簿謄本を追加)
※閉鎖登記記録の保存期間は閉鎖した日から20年間(商業登記規則第34条4項2号)
- 建設業許可通知書の写し等
経営していた会社が建設業許可を受けていた証拠
※許可未取得業者であれば、工事実績を確認できる書類が必要です。
その他、必要に応じて決算書等の書類が補完的に求められることがあります。
✅ 「要件をみたす一定の経験をもつ者」を証明する場合
- 在籍証明書(会社が発行)
→ 経営業務に関与していたことを証明 - 職務経歴書(本人作成+会社証明)
→ 業務内容・部署・担当業を詳細に記載 - 源泉徴収票や給与明細
→ 実際に給与を得ていたことを示す - 組織図・職務分掌規程
→経営の補佐ポジションであることの補完資料
(2)個人事業主の場合
個人事業主の場合は、「自ら事業を経営していたこと」を証明する必要があります。
必要書類
✅ 事業の実態を証明する書類
- 確定申告書の控え(税務署の受領印または電子申告の受信通知が必要。※令和6年分から受領印は不要)
→ 5年以上事業を行っていたことを証明 - 建設業許可通知書の写し等
許可状況を確認できる書類
✅ 取引実績を証明する書類
- 請求書や領収書(継続的な取引が分かるもの)
→ 実際の事業の内容を補足証明できる書類 - 銀行通帳の取引履歴(事業用の口座)
→ 事業の収支を確認できる資料 - 請負契約書(取引先との契約内容)
→ クライアントとの契約を証明
法人と個人事業主の証明方法の違いを比較
項目 | 法人 | 個人事業主 |
証明する内容 | 役員または個人としての経営経験 | 事業主としての経営経験 |
主な証明書類 | 履歴事項全部証明書(閉鎖事項証明書等)、在籍証明書 | 確定申告書 |
追加の証明資料 | 源泉徴収票、職務経歴書 請求書、通帳記録 |
請求書、通帳記録 |
法人の場合は、登記簿などで役員経験を証明し、個人事業主の場合は確定申告書などで事業の実態を証明するのがポイントです。
法人の取締役歴での立証でも、その法人が許可未取得業者の場合は、工事実績の資料である請負契約書や請求書+通帳などの取り引き実績の立証が必要です。
申請時の注意点
(1)書類の整合性を確認する
- 登記簿との記載内容が一致しているか
- 取引先との請負契約書や請求書の内容に矛盾がないか
(2)古い書類でも5年以上の経歴を証明できるように保管
- 5年以上前の確定申告書が必要になるため、税務署からの控えを確保
- 役員としての在籍期間がわかる議事録も保管
(3)必要に応じて追加書類を準備
- 申請先の行政庁によっては、追加で書類を求められることがあるため、早めに相談
まとめ
経営業務の管理責任者の証明方法は、法人と個人事業主で異なります。
🔹 法人の場合 → 「役員としての経験」または「個人事業主としての経営経験」を証明
🔹 個人事業主の場合 → 「確定申告書」で事業の実態を証明
さらに建設業許可通知書で許可状況を確認してもらい、その証明ができなければ工事実績が確認できるような資料を提出しなければなりません。
それぞれの証明書類をしっかり準備し、スムーズに許可申請を進めましょう!
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