
営業所の営業所技術者等(旧称:専任技術者)が辞めた場合の対応方法
2026年09月30日 12:11
さいたま市に事務所を構える「そらね行政書士事務所」が、建設業の営業所に配置する「営業所技術者等」が退職した場合の対応について、専門家の視点からわかりやすく解説します。
※建設業法改正により、令和6年に「専任技術者」という名称が「営業所技術者等」に変更されました。
突然、営業所技術者等である従業員が辞めてしまった。
これまで営業所技術者等として登録されていた者がその営業所からいなくなってしまっても、代わりに営業所技術者等となる要件を満たす従業員が社内にいれば、14日以内に埼玉県や管轄の行政庁に変更届を提出することで手続きが完了するため、過度の心配はありません。
しかし、営業所技術者等がいないと、建設業許可を維持できません。不在の期間がたった1日でも許可要件を満たさず、営業停止や許可取り消し等の深刻なリスクがあります。
本記事では、埼玉県内で建設業を営む企業様に向けて、営業所技術者等がいなくなった場合(退職、長期入院、死亡など)の正しい対応、またその予防法など詳しく見ていきます。
1.営業所技術者等がいなくなったらどうなる?
営業所技術者等は、その営業所に常勤して(常勤性)、専らその職務に従事すること(専任性)が求められます。
これは、建設業許可の極めて重要な要件の一つであり、埼玉県内の各営業所ごとに専任の営業所技術者等を置かなければなりません。
〇「常勤」とは
各営業所において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事(一定の要件を満たすテレワークを行う場合を含む。)していること。
〇「専任」とは
その営業所に常勤して専らその職務に従事すること。その者の勤務状況、給与の支払状況、人事権の状況等により総合的に判断される。(出向社員であっても専任性が認められる場合があります。)
テレワークに関してはICT機器の使用状況等を含め総合的に判断することとなります。
営業所に常識上通勤不可能な場所でのテレワークについては、 「専任」要件を満たしません。
営業所技術者等が退職してしまった場合、事実上その営業所は「許可要件を満たしていない」状態になります。ただ、営業所技術者等は経営業務の管理責任者と異なり、取締役等の役員に限定されていないので、従業員でもなることができます。
しかし、他の営業所や他社との兼任や、派遣社員などの非常勤はNGなので注意が必要です。
後任が見つからない場合には廃業届を提出することになります。
そのため、建設業者は速やかに新たな営業所技術者等を確保し、変更届を提出する必要があるのです。
法的根拠:建設業法第7条第2号、建設業法第15条第2号
参考資料:建設業許可事務ガイドライン 第7条関係1(1)② 、建設業許可事務ガイドライン 第7条関係2(1)
2.対応ステップ|3つのポイント

ステップ1: 自社で後任者がいるかを探す
営業所技術者等は、次のいずれかに該当する人である必要があります。
有資格者(施工管理技士、建築士など)
一定年数以上の実務経験者
一般建設業の場合:最大10年
特定建設業の場合:10年以上+うち指導監督的実務経験※が2年
※ 「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
《後任者が指定学科を卒業している場合》
10年の実務経験がなくても、3年または5年の実務経験があれば要件は満たされます。
指定学科+3年または5年の実務経験(学校によって異なる)
大学(高専等を含む)の指定学科卒業の場合:3年の実務経験が必要
高校・専門学校の指定学科の卒業:5年の実務経験が必要
法的根拠:建設業法 第7条 号、建設業法 第15条第2号ロ
ステップ2:変更届を提出
後任の営業所技術者等が見つかれば、前任の営業所技術者等が辞めた日から2週間以内に、管轄の行政庁へ「変更届」を提出します。
【主な必要書類】
変更届出書(様式第22号の2 第一面)
営業所技術者等証明書(新規・変更)(様式第8号・項番61は「4」)
後任の営業所技術者等の常勤の確認資料(住民票の写しや健康保険被保険者証など)
後任の営業所技術者等要件を証する書類(保有資格や実務経験の証明ができるもの)
(申請内容によっては追加で書類が必要になる場合があります。)
絶対に避けるべき「名義貸し」のリスク
後任がいないので、とりあえず資格を持っている知人に名前だけ借りよう…」 名義貸し対応を取る事業者も、残念ながら見られます。しかし、これは明確な建設業法違反です。 発覚した場合は許可取消処分となり、その後5年間は再取得ができなくなります。絶対にやめましょう。
ステップ3:自社に適任者がいない場合
他の営業所から営業所技術者等となることができる人を配置できないか検討しても、その営業所要件を満たす人がいない場合は、速やかに廃業届を提出することとなります。
この廃業届は、会社や個人事業としてすべての事業をやめることを届け出るものではなく、当該業種の建設業についての取り消しですので、その後要件を満たすことができた場合はすぐに新規許可を再申請することができます。
営業所技術者等の退職で会社を危機に陥れないために
余裕があれば、該当建設業種の有資格者を複数人雇用しておくことが良いでしょう。また、営業所技術者等の要件を満たす従業員を育成(国家資格を取得させる、所定の学科を卒業した人を雇用する、従業員を社会保険に加入させる等)や、長期間にわたって働き続けることのできる環境づくり(キャリアパス制度の明確化、資格取得支援制度・ライフスタイル支援制度の導入等)も重要です。
3.まとめ
建設業許可の要件である営業所技術者等については、1日でも不在の期間があると建設業許可を失います。建設業許可を維持し、安定した経営を続けていくためには、目の前のことだけではなく、先を見据えた組織運営が重要となります。
そらね行政書士事務所では、大宮区をはじめ、さいたま市内(北区・西区・岩槻区・緑区・浦和区・南区・桜区)、近隣地域(川口市・川越市・蓮田市・上尾市・伊奈町・春日部市など)、埼玉県内の建設業者様をサポートする当事務所です。
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