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建設業者が加入する社会保険について:新規適用の手続き方法

建設業者が加入する社会保険について:新規適用の手続き方法

2026年10月01日 10:01

建設業許可を取得・維持するためには、健康保険、厚生年金保険、雇用保険といった社会保険への加入(適用事業所としての適切な手続き)が義務づけられています。本記事では、建設業者が加入すべき社会保険の概要、加入方法、および保険料率について解説します。


1. 健康保険はどうしたらいいの?

健康保険は、従業員やその家族が病気やけがをした際に医療費をカバーするための公的医療保険制度です。


健康保険の種類


  • 協会けんぽ(全国健康保険協会): 主に中小企業が対象で、政府が運営する公的保険です。

  • 国民健康保険: 個人事業主や小規模企業の従業員などが加入する、市区町村が運営する保険です。

  • 組合管掌健康保険(組合健保): 土建国民健康保険組合や全国建設工事業国民健康保険組合など、同業種で組織された組合です。

会社(法人)の場合

法人である場合、原則として従業員数に関わらず、社長1人の会社であっても健康保険(または組合健保)の加入が必須となります(適用事業所)。


ただし、役員報酬が0円であるなど、報酬が発生していない場合は健康保険の被保険者となれない例外もあります。


また、年齢等によって後期高齢者医療制度などの適用になる場合もあるため、会社の状況に応じて確認が必要です。

個人事業主の場合

個人事業主の場合、事業主本人は協会けんぽの健康保険に加入できません(個人事業主本人は国民健康保険となります)。


ただし、従業員を常時5人以上雇用している個人事業所は、健康保険(または組合健保)の強制適用事業所となります。


この場合、雇われている従業員(パート・アルバイトであっても一定の要件を満たす場合)は健康保険への加入が必要です。

負担率(埼玉県の場合・令和8年度 協会けんぽ)

埼玉県の協会けんぽにおける健康保険料率は 9.67% です。


また、40歳以上で介護保険第2号被保険者に該当する場合は介護保険料率(1.62%)が加わり、さらに令和8年度からは子ども・子育て支援金率(0.23%)が追加されます。


これらは企業(事業主)と従業員で折半(半分ずつ)します。


  • 【40歳未満(介護保険なし)】合計:9.67%

    • 事業主負担:4.835%

    • 従業員負担:4.835%

  • 【40歳〜64歳(介護保険あり)】合計:11.52%(健康保険9.67% + 介護保険1.62% + 子ども・子育て支援金0.23%)

    • 事業主負担:5.76%

    • 従業員負担:5.76%

※参考:協会けんぽ公式ホームページ(都道府県単位保険料率)

加入方法と必要書類

協会けんぽで健康保険に新規加入する場合、原則として厚生年金保険と同時(セット)で手続きを行います。


【必要書類(法人の場合)】

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届

  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

  • 被扶養者(異動)届(被扶養者がいる場合)

  • 健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書(口座引落しを希望する場合)

  • 履歴事項全部証明書

  • 法人番号指定通知書

※詳細:日本年金機構「事務所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき」


郵送での手続きについて

窓口だけでなく、管轄の事務センターへ郵送で手続きをすることも可能です。埼玉県の場合は「日本年金機構 埼玉広域事務センター」宛てに送付します。


健康保険・厚生年金保険の適用に関する届書等を郵送する際は、封筒に送付先の事務センター名と郵便番号(大口事業所個別番号)を記載してください。住所は記載しなくても、それぞれの事務センターに届きます。


〒330-8530

日本年金機構 埼玉広域事務センター


※詳細:全国の事務センター一覧(健康保険・厚生年金保険の適用に関する届書等を郵送する場合)

埼玉県の年金事務所の管轄一覧

  • 浦和年金事務所(桜区・浦和区・南区・緑区・川口市・蕨市・戸田市)

  • 大宮年金事務所(西区・北区・大宮区・見沼区・中央区・鴻巣市・上尾市・桶川市・北本市・北足立郡)

  • 熊谷年金事務所(熊谷市・行田市・加須市・本庄市・羽生市・深谷市・児玉郡・大里郡)

  • 川越年金事務所(川越市・東松山市・朝霞市・志木市・和光市・新座市・富士見市・坂戸市・鶴ヶ島市・ふじみ野市・入間郡の一部・比企郡)

  • 所沢年金事務所(所沢市・飯能市・狭山市・入間市・日高市・入間郡三芳町)

  • 春日部年金事務所(春日部市・さいたま市岩槻区・久喜市・蓮田市・幸手市・白岡市・南埼玉郡・北葛飾郡)

  • 越谷年金事務所(越谷市・草加市・八潮市・三郷市・吉川市)

  • 秩父年金事務所(秩父市・秩父郡)

※詳細な住所・管轄の詳細は日本年金機構 埼玉県内の年金事務所管轄区域をご確認ください。

2. 年金保険はどうしたらいいの?

年金は、従業員が老後を迎えた際に生活を支えるための制度です。

個人事業主と法人の違い

  • 会社(法人): 原則として加入が義務づけられています。

  • 個人事業主: 事業主本人は厚生年金に加入できません(国民年金に加入します)。ただし、常時5人以上的の従業員を雇用している個人事業所は、従業員を対象とした厚生年金への加入義務が生じます。

負担率(令和8年度)

厚生年金保険の保険料率は一律で 18.3% です。この保険料も企業と従業員で折半します。


  • 事業主負担: 9.15%

  • 従業員負担: 9.15%

※参考:日本年金機構(厚生年金保険の保険料率)

加入方法

前述の「健康保険」と同時に、年金事務所へ「新規適用届」および「資格取得届」を提出して行います。

3. 雇用保険はどうしたらいいの?

雇用保険は、従業員が失業した場合や、育児・介護休業を取得した際に給付金を受け取るための制度です。建設業許可の申請においても加入が必須となっています。

加入対象となる労働者

原則として、以下の要件を満たす労働者は加入が必須です。


  1. 週の所定労働時間が 20時間以上 であること

  2. 31日以上の雇用見込みがあること

負担率(令和8年度)

雇用保険料は事業主と労働者の双方で負担しますが、業種によって料率が異なります。令和8年度の建設事業の保険料率は以下の通りです。


  • 事業主負担: 1.05%(10.5/1000)

  • 労働者負担: 0.6%(6/1000)

  • 合計: 1.65%(16.5/1000)


加入方法(建設業の「二元適用事業」について)

一般の企業(一元適用事業)では労働保険(雇用保険・労災保険)をまとめて手続きしますが、建設業は「二元適用事業」に該当し、雇用保険と労災保険を別々に手続き・納付する必要があります。


(1) ハローワーク(公共職業安定所)での手続き【雇用保険】

従業員を雇い入れた日の翌日から10日以内に、管轄のハローワークへ書類を提出します。


  • 提出書類:

    • 雇用保険適用事業所設置届

    • 雇用保険被保険者資格取得届(※原則として雇用した日の翌月10日まで)


(2) 労働局または日本銀行(代理店など)での手続き【保険料の申告】

従業員を雇った日の翌日から50日以内に、管轄の労働局または日本銀行(代理店、金融機関など)にて、概算保険料の申告・納付手続きを行います。


  • 提出書類:

    • 概算保険料申告書

※埼玉県内のハローワーク管轄(川口、熊谷、大宮、川越、浦和、所沢、秩父、春日部、行田、草加、朝霞、越谷など)の詳細な管轄エリアは、埼玉労働局の案内をご確認ください。

4. 労災保険はどうしたらいいの?(参考)

労災保険は、従業員が業務中や通勤中に負傷・病気・障害などを負った場合に補償を行う制度です。


建設業許可の申請書類として直接添付を求められない場合もありますが、建設業は雇用保険と同様に「二元適用事業」となるため、雇用保険とは別に労働基準監督署での手続きが必須となります。


建設業の労災保険における注意点

建設業の労災保険制度は、元請け・下請けの関係や現場ごとの適用などがあり、一般企業に比べて仕組みが少し複雑です。


  • 事業主の義務: 労働者を1人でも雇用した事業主には加入義務があります。

  • 下請業者の扱い: 建設業の工事現場では、原則として元請け事業者が現場全体の労災保険(一括有期事業など)を一括して成立させます。そのため、下請け事業者が現場ごとに保険料を二重払いする心配は基本的にありません。

  • 経営者や一人親方は対象外: 労災保険は「労働者」のための制度であるため、法人の取締役や個人事業主本人は原則として対象外です。ただし、リスクに備えるためには「特別加入制度」の利用を検討する必要があります。

加入方法

  1. 労働基準監督署での手続: 従業員を雇用した日の翌日から10日以内に「保険関係成立届」を提出します。

  2. 労働局または日本銀行での手続: 従業員を雇用した日の翌日から50日以内に「概算保険料申告書」を提出し、保険料を納付します。

まとめ

建設業許可を取得・維持するためには、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の適切な加入が不可欠です。


特に法人の場合は社長1人であっても健康保険・厚生年金の加入対象となり、また建設業特有のルールとして「労働保険(雇用保険・労災保険)が二元適用事業である」点に注意が必要です。


自社の状況を正しく把握し、期限内に余裕を持って手続きを進めましょう。

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